2013

07.16

読んだ本

「鍵のない夢を見る」辻村深月
直木賞作。ふとしたことで犯罪と関わってしまう女性たちを描いた短編集です。今回は感動路線じゃなくて薄暗い話なので、ファンにはかなり好き嫌いが分かれる作品だと思います。悪人ではないが、ああいるよなこんな人、とじわじわと不快感を煽る人物が多く出てきます(主人公しかり)。そういう妙なリアリティがある。
一編読んだ程度では後味悪いなあとしか思わなかったのですが、何編か読んでいるうちに共通点に気付きます。そのあたりが面白い、とは違うだろうけど興味深い。
彼女たち(主人公)はみんな、相手に対して一方的な思いを持っています。粘着というほど独りよがりではなく、相互関係があるのに、それでも執着しているのは自分だけなのです。自分がこだわり、執着している、大事にしている、引きはがせないもの(思い)を、相手には理解してもらえない、相手にとっては取るに足らないものだった、自分はただ独り相撲しているだけだった、そういうことを思い知らされて愕然とする。そういう話だと思ってます。
鍵のない夢を見る鍵のない夢を見る
(2012/05/16)
辻村 深月

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「魔道師の月」乾石智子
またも壮大なファンタジーだった。他者の単行本と比べて特別頁数が多いというわけではないのに、この人の話はほんとボリュームが多いと感じる。乾石さんの話ってどこまでもどこまでも繋がっていくのですごい。登場人物が手に入れたいわくつきの品、にまつわる民話から語っちゃう的な。
今回は人々の闇の心を引き出し支配していく太古の闇が現れ、それに対抗しようと二人の魔道士が奮闘し協力し合う物語です。毎度のように過去に話が飛ぶ(しかも長い)ので、群像劇っぽいものが苦手な人には読みにくいかも。主人公の一人は前作(夜の写本師)に出てきた魔道師キアルスですが、読んだのがだいぶ前なので忘れてしまったわ… しかし相変わらずこの人の書く(作る)魔道師の設定は面白い。
マキリップのイルスの竪琴シリーズが好きな人におすすめです。
魔道師の月魔道師の月
(2012/04/21)
乾石 智子

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「太陽の石」乾石智子
魔道師の月の主人公デイサンダーの兄弟、イザーカト兄弟を巡る戦乱の話です。他の作品と違って、話があっちこっち飛ばずにメインは壮絶な兄弟喧嘩に据えられているので、他より読みやすかったです。
オーリエラントシリーズは登場人物は関連してるけど、ストーリーはまったくもって繋がってないのでどれからでも読めます。(というか世界観と人物が重複してるのに全く別物の話を書けるのがすごい)
乾石さんのは一作目以外は全部買ってるんですけど、読むのにエネルギー要るのでちょっとずつ読んでます。しかもこれだけの話を書くにしては速筆なので、読むのが全然追いつかないという…
太陽の石太陽の石
(2012/10/30)
乾石 智子

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「夜の国のクーパー」伊坂幸太郎
同作者のオーデュボンの祈りが好きな人におすすめ。
架空のとある国に鉄国の人間が攻めてきたという話、その国からやってきたという猫に出会った私の話、選ばれた人間が倒すべきクーパーという生き物の話、この三つが交互に展開していきます。
鉄国の人間に支配された町の人たちが助かる道はあるのか、クーパーを倒しに行った人々はどうなるのか、そもそもクーパーとは何なのか、その謎が最後に収束することになります。読んでいると薄々感づく部分もあるのですが、謎が最後に奇麗に解かれるさまが面白かった。
夜の国のクーパー夜の国のクーパー
(2012/05/30)
伊坂 幸太郎

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「残月 みをつくし料理帖」高田郁
シリーズ第八巻。今度の新刊はだいぶ待たされた気がします。
前回のショッキングな出来事から、少しずつ前に進もうとする澪。このたび、ついに一つの問題に決着が付き、一つの問題は進む道が見えてきます。しかしもう一つの問題は五里霧中…
そろそろ作品も終盤に向けて収束していくのかなあと期待しつつ次巻を待つ。
残月 みおつくし料理帖 (ハルキ文庫)残月 みおつくし料理帖 (ハルキ文庫)
(2013/06/15)
高田 郁

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「二番目のフローラ 上・下」イザボー・S・ウィルス
ファンタジー。カリファ国では魔力を持つ執事が屋敷の切り盛りをするのが普通だったが、フュルドラーカ家では夫人が魔力に頼って怠けることを嫌がり、執事を追放してしまう。おかげで屋敷は廃屋のようにみすぼらしくなり、家を制御できないばかりに目当ての部屋がどこに出現するのかわからないありさまに。フュルドラーカ家のフローラはある日迷い込んだ図書室でいまにも消えそうな執事を発見し、執事を家に戻そうと画策する。
執事のためあちこちに潜り込むフローラが後に引けなくなって、どんどん(政治的・魔法的な)大物の事情に首突っ込んでいく破目になるさまが面白い。
魔法の描写が創造的で、ダイアナ・ウィン・ジョーンズ好きな人におすすめかも。(といっても別物なのであまり似ている物を期待しているとがっかりするかもしれませんが…)
二番目のフローラ 上 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事)二番目のフローラ 上 (一万一千の部屋を持つ屋敷と魔法の執事)
(2011/06/29)
イサボー・S・ウィルス

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以下まんが
「月刊少女野崎くん 3」椿いづみ
連載読んでるので、いつも書き下ろしを楽しみにしてます。堀先輩の前髪下ろした顔が萌えるやばい(笑)
鹿島くんVS堀先輩は面白いなあ。
担当さんのアオリがいつも面白いので、巻末にまとめが載ってて楽しかった~
月刊少女野崎くん(3) (ガンガンコミックスONLINE)月刊少女野崎くん(3) (ガンガンコミックスONLINE)
(2013/06/22)
椿 いづみ

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「ひきだしにテラリウム」九井諒子
今回は短編は短編でもショートショート集で、33編も入ってます。相変わらず妙におかしくてシュール(笑)
社長令嬢の話が面白かった! ギャル子意外にかわいいじゃんと思ったらさらにオチがほのぼのしてて。コミュニケーション能力を音ゲーに例えてる話が的確すぎて笑った。あれで言及してる作品はきっと北方水滸伝だな! ショートショートの主人公の家族もカオスすぎる(笑)
九井さんは絵柄を何パターンか描き分けるので、作品によって雰囲気が違って面白いです。和風の話のときの絵柄がとぼけたおかしみがあってかわいい。
ひきだしにテラリウムひきだしにテラリウム
(2013/03/16)
九井諒子

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ハウルの三巻も買ったんですが、もうジョーンズさんの新刊が出ないかと思うともったいなくて読めない…!(未訳が翻訳される可能性はあるけど)
十二国記ももったいなくて読めない…!(笑)十二年ぶりの新刊とか…五年ぶりの新刊が出たと騒いでたあの頃が遠い昔。講談社版持ってたんですが、イラストが見たくてうっかり新潮社版で揃えてしまってる罠。

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