2013

05.16

読んだ本

久々に

「アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う」ゲイル・キャリガー
シリーズ物で全五巻です。邦訳タイトルがラノベっぽいので、もっとライトでドタバタなだけの話かと思いましたが、なかなか作り込んであって面白いです。吸血鬼や人狼が出てきますが、裏社会的な話ではなく人間界にちゃんと認知されているという設定で、貴族もいます。といえばファンタジーな世界かと思いますが、そうでもなくて十九世紀の英国が舞台。そのあたりのリアリティとファンタジー、スチームパンク(?)の混ざりっぷりが面白いかなと。
主人公のアレクシアは反異界族と呼ばれる人間で、吸血鬼や人狼の特性を無効にしてしまうという特徴を持っています。それを武器にいろんな騒動に鼻を突っ込んでいくというタイプのお話。文章も読みやすいので、翻訳物のわりにはさくさく読めます。
一巻はかなりロマンス小説っぽい側面が強いので、いろいろと物足りないというか、中途半端なイメージを受けるかもしれません。二巻以降は反異界族の特性というものに焦点を当てていくので、ミステリ的な側面もあり、次々いろんな謎が解けていくのが面白いです。未読の巻のあらすじと人物紹介はネタバレ満載なので要注意。
キャラの立ち位置(立場)がくるくる変わるのが面白い。中でもビフィがなかなか面白いキーパーソンだった。
脇キャラで同性愛がいくらか出てくるので苦手な人はご注意です。あんまり露骨な描写はないけど。
アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う (英国パラソル奇譚)アレクシア女史、倫敦で吸血鬼と戦う (英国パラソル奇譚)
(2011/04/08)
ゲイル・キャリガー

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「トレマリスの歌術師」(全三巻)ケイト・コンスタブル
海外ファンタジーですが、展開の所為か翻訳者の腕が良いのか、不思議と翻訳物っぽさをあまり感じなかったです。やわらかくて入り込みやすい文章。児童書の分類なのかなと思いましたが、とはいえ大人っぽいところもあって、立ち位置でいうと守人シリーズに近いかもなあという気がします。ジャンルは全然違うのですが、児童書らしいけど硬派な感じとか一冊完結だけど全体の流れが最後に集結する感じとか。
魔法がたくさん出てくる話ですが、この世界では魔法を使える人間は歌術師と呼ばれます。歌によって魔法を使うが、九つの歌術のうち使えるのは一種類だけ。氷の壁に覆われたアンタリスの巫女カルウィンは、ある日外の世界からやってきた歌術師のダロウを助ける。ダロウと敵対する歌術師のサミスという男が、すべての歌術を使える万歌の歌い手となり世界を支配しようとすることを知り、カルウィンはその対立に巻き込まれていくことになる。
主人公のカルウィンは氷の歌術が歌えますが、鉄の歌術が歌えるダロウ、風の歌術のミカ等いろんな歌術師が出てきます。一巻はいわゆる悪の象徴との対決ですが、二巻三巻と読むと世界に歌術の力が失われかけていることがわかります。カルウィンがどんどん覚醒していく展開も面白かったし、ラストの余韻もすごく良かったです。
意外とこの分野の翻訳物でこういうのって珍しいかも。わかりやすい子供向けか、ガッツリなハードファンタジーか、両極端なものが多い気がする。
トレマリスの歌術師〈1〉万歌の歌い手トレマリスの歌術師〈1〉万歌の歌い手
(2008/06)
ケイト コンスタブル

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「バイバイ、ブラックバード」伊坂幸太郎
珍しく短編連作です。いまの生活を捨て、「あのバス」に乗らなければならなくなった星野。彼は付き合っていた恋人に別れを告げることにするのだが、その恋人たちは五人(五股)もいるのだった…
理由を告げずに別れ話をするので、監視役の女に睨まれながらもあの手この手で頑張って別れる話が五編。女優の話のラストがすごく好きです。
初期のドタバタユーモアが好きな人におすすめだけど、最近の話のすっきりしない部分もちょっとあります。ゴールデンスランバーやモダンタイムス等、主人公の物語は一段落したけど、その背景は結局変わらないとか謎なままとか。
文庫版は作者インタビューが入ってますが、これが面白かった。ファンなら楽しめると思います。インタビューで大事なのはどういう質問をするかだと思いますが、これはインタビュアーの腕が良くて、より面白かったです。
バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)バイバイ、ブラックバード (双葉文庫)
(2013/03/14)
伊坂 幸太郎

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「リフレイン」沢村凛
一応SFですが、状況を書くためにSF設定を使ってるだけのヒューマンドラマという感じなので、あんまりSFっぽくないです。漂流物なので、蝿の王とか好きな人におすすめかも。
星間ワープに失敗したイフゲニア号は、無人惑星に漂着してしまう。生存した人々は、その星でサバイバルな生活をしながら救助を待つのだった。こういう話を読むと思いますが、人間はとにかく群れる生き物なのですね。組織を作りルールを作って群れるのに、必ず逸脱者が出てしまうんですよね。この話では識者が多く、高い知性と教養を持った人々なのですが、そんな彼らでも文明的な生活を離れてしまうと文明的な精神を保つのが難しいということが描かれています。
ところで、この話のキモは無人惑星生活の第一部ではなく、その後の第二部にあります。善悪の話でもあり法と精神の話でもあって、最後まで着地点が見えないから面白かった。まあこの主人公はどうにも感情移入できなくて好きではありませんが(笑)
読むのにけっこう疲れるし、何度も読み返すような話でもないので好みが分かれるかもしれませんが、ガッツリしたの読みたい人にはおすすめです。
リフレイン (角川文庫)リフレイン (角川文庫)
(2012/07/25)
沢村 凜

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