2017

06.18

読んだ本

タニスリーとか

幻獣の書」タニス・リー
気になってたのでタニス・リー。
幻想的な雰囲気で、キャラに感情移入するというよりは伝承を読んでいるようなイメージです。
とある呪われた血族の男とその妻の物語が、入れ子構造で語られます。章立てて分かれている一見別々の話が、実は全部同じ流れに繋がっていくところが巧い。
体言止めが多くて文体に癖があるので慣れるまで読みにくく、話も全体図を把握するまではよくわからないのですが、いつの間にか引き込まれているという不思議な作品だった。あと男女の交わりもテーマになっているので、淫靡な感じがあります。

死せる者の書」タニス・リー
墓の案内人が、それぞれの墓にまつわる小話を語る。説話集みたいなイメージの短編集です。キャラ描写よりも個々のすじがきを見せるのがメインな感じ。
異形の者や狂気や破滅などのストーリーですが、重すぎず、巧い語り手だなあって印象あります。

狂える者の書」タニス・リー
平行世界のパラダイス・パラディス・パラディのそれぞれの出来事を追っていく。
パラダイスに住む殺人鬼の兄妹は、伯父が別世界に遺した遺産を手に入れようと、相続人であるパラディの画家を殺そうと計画する。役者にもてあそばれたパラディスの若い娘は精神病院に入れられ、のちに同じく病院に入れられたパラディの画家の運命に影響を及ぼす。どこまでが妄想でどこまでが現実なのか、不思議な構造の話。
ちなみに上記含む三冊はすべてパラディスの秘録というシリーズですが、架空の街パラディス(平行世界のパリ)が舞台になっているとのことです。

ゼロ時間へ」アガサ・クリスティー
名作と名高い作品なので、興味が出て読んでみました。
世のミステリ小説は人の死が始まりとなって展開する。しかし、殺人の起こるゼロ時間へ向かっていろいろな出来事が収束する、事件は本当はその前から起こっているのだ…という話が冒頭で語られる。
群像劇風に複数の人のエピソードが展開され、事件となるゼロ時間が近づいていく緊迫感。それぞれのエピソードに何気なく多彩な伏線がばら撒かれ、終盤の回収具合が巧いな~~と。
最初はバラバラの話なんだけど、そこが退屈にならず、さすがに読みやすいしわかりやすい。70年も前にこんなタイプのミステリが書かれてたのがすごい。

上流階級 富久丸百貨店外商部II」高殿円
外商部でバリバリ稼ぐキャリアウーマン静緒の話、第二段。まさか続編が出るとは!
ますます稼ぐようになった静緒が、客との距離の取り方や自分の仕事の意義を考える巻。桝家の性的指向の話と家族の確執にも触れてますが、やっぱり仕事の話が面白いです。

以下まんが
BEASTARS 2~3」板垣巴留
アクシデントにより代役で舞台に出ることになったレゴシ。1巻に緊張感があっただけに、これやっぱり青春ドラマかな?と思った矢先の3巻ですよ…
草食動物に対する飢餓感を抑えきれない肉食動物の、社会の闇に踏み込む3巻終盤。ますますどういう方向で書いていくのか目が離せない~
でも卵を生む鶏女子の話は息抜き回っぽくて楽しかった(笑)


シリーズや長編物で、巻数が多くて追い切れてなかったり好みが変わってしまったりして、途中から感想書いてないときがあります
あと、読んでてもマンネリ化してて新しい感想が思い浮かばなかったり、最終巻まで読んだけどタイミング逃して感想かけてないときとかある

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    2017

05.17

オーリエラント

乾石智子さんの一大ファンタジー、オーリエラントシリーズをちょこちょこ読み直したので整理してみた
バラで読んでたからよくわかってなかったけど、まとめて読んだらちょっとわかったぞ~

まずオーリエラントにはコンスル帝国とイスリル帝国という二つの帝国があって、それぞれの年代で話が展開される。(別の年代で同じ人物が関わってたりもする。)
「魔道師の月」のテイバドールの話は(コンスル帝国に対抗して)イスリル帝国が誕生するきっかけの話。(「夜の写本師」はコンスル帝国が滅んだあとの話。)(「沈黙の書」はオーリエラント誕生の古代の物語。)
「魔道師の月」がわりと要の話なので、それを読んでいると全体図がわかりやすい気がする。

「魔道師の月」のキアルス=「夜の写本師」でギデスディンの魔法を生み出したキアルス、キアルスの生まれ変わり=「夜の写本師」のケルシュ。
「魔道師の月」のレイサンダーの子孫=「太陽の石」のイザーカト兄弟。「魔道師の月」のレイサンダーが持ってた肩留め=「太陽の石」のデイスが拾った石、レイサンダーの生まれ変わり=デイス?
「紐結びの魔道師」のエンスがかつて所属していた神が峰の戦士団=「太陽の石」のイザーカト兄弟のヤエリが作った騎士団、「夜の写本師」の四大魔道師の指が欠けた男(カッシ)=「紐結びの魔道師」のカッシ、「夜の写本師」のカリュドウの親方(イスルイール)=「魔道写本師」のイスルイール。
ってことかな~~すっきりした。

乾石さんの話って、わりと残酷だったり、陰惨だったり、痛ましかったりするシーンも盛り込まれてるんだけど、なんかあんまり鬱って感じはしない。個々のキャラに入れ込むよりは、大きな流れをそのまま受け止めるような物語。
ところでオーリエラントの魔道師たちの文庫版って書きおろしあるの??買わねば…


乾石さんの話ってまさしくファンタジーというか幻想譚というか、世界観そのものが魔法がかっている。想像というか幻想というか形のないもの?を書いてるから、視覚的ではないんだよね。感覚的な物語。
マキリップ、エヴェンジェリン・ウォルトンが近い感じのファンタジーかも。方向性は違うんだけど、個人的にはデ・リントの「リトル・カントリー」、ジョーンズの「九年目の魔法」「デイルマーク王国史」は似た雰囲気あるんじゃないかと思っている。
ファンタジーといえば、タニス・リー気になってるんだけど、方向性似てたりするのだろうか。探してみようかな。

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    2017

05.12

読んだ本

最近ミステリばっかり読んでたから、久々にファンタジーあさったらすごい面白かった…
他にも読んだけど、今回はとりあえずファンタジーだけ

魔物のためのニューヨーク案内」ムア・ラファティ
解説でも紹介してますが、同じように魔法の世界の住人が経営している会社に就職してしまう、ニューヨークのOLが主人公の(株)魔法製作所シリーズ好きな人にはオススメ~~
ただしこっちは魔物なので、主人公はけっこうひどい目に遭います(笑)。
地方の仕事を辞めてニューヨークに帰って来たゾーイは、仕事のノウハウを売り込んで、ある会社でガイドブックを作ることになる。しかしそのガイドブックとは、魔物がターゲット層の商品だったのだ…という話。
とにかく同僚も取材先も魔物魔物!なのでゾーイは立場的には餌なのだ…なので、なんとか自分の身を守ったり、ヒエッとなる食事風景を見てしまったり、いろいろとヘビーなんだけど根性あるアラサー女な感じが面白い。

魔導の系譜」佐藤さくら
魔導の福音」同上
魔導士というものの地位が低い世界の話。系譜の方は魔導士が虐げられている国ラバルタの話で、福音の方は魔導が禁忌とされ、魔導士は魔物棲みとして処分されてしまう国エルミーヌの話です。
読みごたえは系譜の方がある感じ。天賦の才を持ちながら、魔力が低いために三流の名に甘んじているレオンが、自ら開いている私塾で、桁違いの魔力を有する少年ゼクスを預かることで運命が動いていく。師と弟子の愛憎渦巻く物語なんだけど、魂で結ばれてる感じが深くて泣ける。けっこう絆深めなので、ブロマンスっぽい感じがあります。
シリーズ全体では、魔導士という存在がどうしてこんなにも酷い扱いをされるのか…ということを考えていくような話かな~
日本のファンタジーってライトなものが多め(ラノベとか児童書とか)なイメージありますが、新人でけっこうがっつり書ける人出てきたなあって感じします。

血と霧」(全二巻)多崎礼
「夢の上」の多崎さんです。この人の話、わりと重いイメージがあって、鬱耐性ないと読むのしんどいかも。鬱々としてるわけじゃないんですが、ビターでちょっと喪失感がある作風なんですよね。
かといってひたすら血生臭く殺伐としてるわけでもなくて、キャラ描写も巧いし感動するところもあったりするんだけど、こう…手放しハッピーにはなり得ないというか…(ダメージ)
血そのものに価値があり、その濃度や能力によって階級が定められている国の話。探し物業を営むロイスは少年ルークの探索を頼まれたことを機に、国家間の政治的取引や王家の裏事情等を知ってしまい巻き込まれていくが、実はロイス本人にも重大な過去があり、その件についても暴かれていく…というストーリー。わりとバックに壮大な設定があるのですが、そっちには触れられずに終わってしまうので、設定のわりには巻数相応の話しか語られません。
主人公がわりといい歳の男で、仲間もいいキャラが揃ってて、ちょっとハードボイルドっぽい雰囲気がするスチームパンクっぽい話です。
情報量が多いので、頭の中で整理できるまでちょっと序盤混乱するかも。
お堅い印象が強いのですが、運命の女性グローリアと出会うシーンはめっちゃ可愛かった…(グローリアが)

紐結びの魔道師」乾石智子
前に出た短編集(オーリエラントの魔道師たち)の文庫版だと思ってスルーしてたら、再録は表題作のみ、あとは書きおろしのシリーズ短編集だと知って、慌てて買いました。
乾石さんの作品にしては、ライトでコミカルで楽しくて読みやすいです。エンス…はーかっこいい…乾石さんのキャラで一番好き。脳筋に見せかけて頭がまわるタイプとかめちゃくちゃ好みです。
紐を結ぶことによって使う魔法の話。ちょっと年代が飛んだり、魔道師は何百年も生きるので、そのあたりの話があったり。
巻末にシリーズの年表が載ってるので、年代順に読み直してみようかな~

以下ラノベ
ヒュプノスゲーム」鰤/牙
イラストがAKIRAさんで興味持って、おっさん&女子高生のエクソシスト物?何々…と思ったら、VRカネの人じゃないか…!
VRカネはなろうの方で読んだのですが、チート主人公の少年向けかと思いきや、ヒロインのターンはあれ、これ少女向けだった…?って思うほど心情がよく描かれていて&成長ものでめちゃくちゃ良かった…
ヒュプノスゲームは夢魔と、それと戦うエクソシストの現代ファンタジーです。AKIRAさんの描く女の子めちゃめちゃ可愛いんですけど…あとおっさんかっこいい
エクソシストは夢魔と同じステージで戦うために、自らも夢魔を住み着かせてそれを使役します。主人公の凌ノ井は優秀なエクソシストのおっさんで、ヒロインは夢魔に憑かれた被害者の女子高生・綾見。ヒロインが、ぼーっとしたタイプの子なんだけど根性あって可愛い。
ラストにかけて不穏な情報がどんどん出てくるな…?と思ったら、すごい衝撃的な展開で終わって次回に続くだった(笑)。続刊楽しみ~

サラファーンの星と風の名前も買ってあるんだけど、もうちょっと待ったら完結?一区切り?付くみたいなので、それから読もうかな…

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    2017

04.16

自分の10冊

自分にとっての「10冊」を挙げるならどれだろう?と思ったのでちょっと書いてみる


・マツの木の王子
幼少期の愛読書。身分差・恋愛・逆境・人と人外・奉仕の精神・せつないラスト…といろいろ要素詰まってるよね! 物語に心動かされるのをすごく感じた。

・クレヨン王国のパトロール隊長
幼少期の愛読書。クレヨン王国シリーズで初めて読んだのがこれだったかと。少年が試練を乗り越えて強くなる。せつなさとか生きる力とか、いろいろ感じた。ここからシリーズにはまる。

・キッチン
(児童書以外の)小説を読むきっかけ、そして書くきっかけになった本。しばらく吉本ばななにはまった。人と人のつながり、自分の役割。平易な文体で、ぐいぐい心に沁みてくる。

・月の影影の海
十二国記第一作。児童書ではない、こんなに面白いトリップものを読んだことがなかった。落として上げるカタルシス展開と主人公の成長要素がたまらない。他の著書も読みあさり、それがきっかけでホラー物も読むようになった。

・ななつのこ
加納朋子にはまるきっかけ、短編連作ミステリにだだはまりするきっかけになった本。人の死なない優しいミステリというのがジャンル化されてるんだなあと知った。作者にはまったおかげで新刊が待ちきれずハードカバー購入デビューし、財布の紐が完全にブチ切れた本散財の戦犯になった本。

・裏庭
ハリーポッターをきっかけに児童書ブームが巻き起こっていたころ、とあるサイトの紹介で出会った本。梨木香歩にはまるきっかけになった。国内の児童書を読みあさるきっかけにもなったが、幻想と現実のはざまをこんなにも絶妙に描く人は他にいなかった。

・魔法使いはだれだ
クレストマンシーシリーズの一冊。ジョーンズにはまるきっかけ、海外ファンタジーにはまるきっかけになった本。たくさんの要素をちりばめ、それを意外な方向に奇麗にまとめ上げる魔法のような手腕にどきどきして、憧れる。

・復活の地
小川一水にはまるきっかけ、そしてSFを読むきっかけになった本。主人公が酷い目に遭って鼻っ柱叩き折られて成長する展開は元々好きでもあったけど、背中を預ける関係・信頼で繋がる関係っていうカップリングに目覚めた(おそらく元々好きだったけど、好きなカップリングの根底にこの要素があるということを自覚した)。

・騎士の息子
ファーシーアの一族シリーズ第一作。創元推理文庫の長編ファンタジーを買いあさる原因になった本、そして創元推理文庫の値段に躊躇しなくなった本。こんなに重くてつらくてずしんとくるのに麻薬のように読んでしまうシリーズは初めてだった。つらくて泣いて、読んで、泣いて、また繰り返し読む。運命の重さ、愛とエゴの表裏一体、とにかく心を揺さぶられる話だった。

・自負と偏見
英文学の授業でオースティン(ノーサンガー・アベイ)と出会い、レポートを書くために読んだ。文学作品・古典というものに苦手意識がなくなった本。高潔さとプラトニックに痺れた。その後オースティンにはまる。

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    2017

04.16

読んだ本

ちょっとだけですが

嫌な女」桂望実
弁護士の徹子のところに、遠縁の夏子がやってくる。彼女はいつも自分が巻き込まれたトラブルをなんとかしてくれと来るのだが、相手はどう見ても夏子の詐欺の被害者だった。
この夏子が嫌な女で、主人公目線だとまたこいつか、と来るたびうんざりするんだけど、次は何をやらかしたんだ~と次第に気になってしまう女でもある。夏子のスタンスはずっと変わらないんだけど、主人公(と読者)の捉え方がちょっと変わるというのが面白い話です。
この作者、県庁の星とか、わりと読み口が軽いイメージがあったのですが、今作はけっこうがつんと読める感じでした。

本バスめぐりん。」大崎梢
書店・出版社系の作品が多い大崎さんですが、今回は移動図書館の話。
短編連作ですが、パズル系の謎とかではなく、どれもちゃんと移動図書館に絡めた話で面白かった。話によって別の巡回先に行くので、人間模様がまた変わるところも面白かったです!

以下まんが
金の国水の国」岩本ナオ
「町でうわさの天狗の子」の人です…!(そっちも面白かった)
ある敵対する両国が、友好のために国一番の美女と国一番の賢人を送り合う約束をする。しかし両国は互いに相手を出し抜こうとして…という話。
おとぎ話風なんだけどしっかり少女漫画で、ヒーローもヒロインも見た目はぱっとしない感じなんだけど誠実で芯があって知恵が回ってすごい良かった~~

ダンジョン飯 4」久井諒子
遂にドラゴンとあいまみえ、ファリンを救う第四巻。今回でいったん区切りはついたかな?ファリンおっとり系良い子っぽいので、この面子だと影が薄くなるのでは…?と思ったけど、さすがにライオスの妹だった(笑)。妙なズレっぷりがかわいいです。ライオスの兄さんっぷりにもぐっときた。
対ドラゴン戦なので今回けっこうシリアスだった。マルシルの魔術についてもシリアスな設定が絡んでるみたい。
シリアスで思い出したけど、久井さんが昔サイトで連載してた本格ファンタジーは書籍化しないのかな…?たしかあちこちの年代の話があったので、全体図が知りたい。

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